エッセイ-LIFE STYLE-

自分の人生に愛される!肝心な時に力を発揮するために必要な力とは

目次

自分の人生に愛されるモテ文字のお稽古 Lesson 1

日ごろ書道を教えている中で感じることがあります。

生徒の字や手本に向かう姿勢から性格が見えたり、癖を修正したら私生活への取り組みまで変化したり。

そんな様子を見て「字は人生そのもの」だとわかりました。「字は心の鏡」なんてそんな生ぬるいものではありません。

このコーナーでは、12回に渡って一般的なことから、次第にコアな書の精神の泉に潜って、自分の人生に愛されて生きるヒントをひとつずつ拾っていきましょう。

全力で力を抜く技術

ここでは異性から「モテる」小手先のテクニックを解説するわけではありません。

もっと大切な「あなた自身の人生からモテモテになる」ための場所です。

そのために書道の考え方が一役買ってくれそうなのです。それをものにしてしまえば、あなたをとりまく全てのものから愛される「我が人生のモテ人間」になることでしょう。

それではさっそく、第1回目のテーマ「全力で力を抜く技術」についてお話します。

トップスピードを出すには力が邪魔!

書に限ったことではなく、技術を熟達させた人の所作や思考には不朽の美しさがあります。

神楽坂にある私のアトリエの近所には質の高いBARが軒を連ねておりまして、バーテンダーのシェーカーを振る動きは非常に芸術的。

無駄な力を抜いてしなやかに振るストロークは柳のようです。

話を聞くと、筋肉の“伸張反射”を利用するらしいのです。力いっぱい振るとむしろ速度は衰え、繊細なキレのあるカクテルは生まれないのです。

書道も同じ。最近よく書道パフォーマンスなどで見る、全開全力な書道はあくまでショーなので「書道っぽい」ものを切り取って振舞っているだけ。実際に書家が書くときはもっとゆっくり地味な動きもたくさんしています。

ダンスでもそうですよね。要所の瞬間ごとにすごく細かくて速い動きがカツン!と挟まるので、かっこいいのです。

豊かで引き締まった字のボディラインが完成するには緩急が大切。勢いや速さだけに力をフォーカスすると粗雑な線になり、趣も何もあったものじゃありません。

ではお酒でも、書道でもダンスでも、何かの魅力を最大限に発揮するには、何がポイントなのでしょう。

一見必要そうな力のスイッチを切る

ただ硬いだけの金属を使っても強い日本刀は造れないのと同じで、全力の中の最大値を効果的に引き出すためには、何かを削ぎ落とすしなやかさが必要です。

その「何か」は決まって「これを捨てるのはもったいない気がする」ものだったりする。

先のバーテンダーの例でいう「力」や、書道の「勢い」日本刀の鋼の「硬度」のように一見するとそれを全面に押す方が出力は上がりそうなもののことが多いのです。

貴女の最大のパフォーマンスを上げるためにどんな「強さ」と「クッション」が必要かを見極め、手に入れなければなりません。

「削り落とす勇気」

神経を研ぎ澄まし、思考をシェイプアップして、伝えたいことの100%を余すことなく伝えるために、削らなければならないものも100%削ること。その対象が人なのか、気持ちなのか、能力なのか物なのか・・・はケースバイケース。例えば、イクラの美味しさを伝えたいのに鮮魚の盛合せ丼を出しては「海鮮の美味しさ」が伝わるだけであなたが伝えたかった「イクラの美味しさ」が100%伝わるとは限りません。

どの全力をどのタイミングで使うのか見極めて、「無駄なものを削り落とす力」を全力で発揮したときそれが本当のあなたの「全力力」です。

大丈夫。大切なものは何も失わない。
全力な人はただひたすら美しいです。

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